地球環境学舎 紹介ビデオ
留学生が地球環境学舎の魅力を語ります。
許斐 有希(2022 年 3 月修了)
いきもの倶楽部 KONOMI(自営業)
私はもともと京都大学に在籍していたのですが、卒業後の進路に悩み始めた3回生の頃、地球環境学堂(GSGES)の存在を知りました。生き物が好きで、守りたいという気持ちが昔から漠然とあった私にとって、生物多様性・保全について学べるコース(生物多様性保全論分野)はきっと卒業後の自分に良い影響を与えてくれるはずだと思い、また、海外でのインターンシップに挑戦できるということも GSGES への進学を決めた要素の一つでした。
ところが 2020 年春、私の大学院生活が開始する頃、コロナウイルス感染症によって世間の何もかもがストップしてしまいました。初めてのオンライン授業では、先生も英語なので聞き取りが難しく、グループディスカッション等は更にとても難しく感じました。野外実習もほとんどが中止になり、海外インターンシップも中止になりました(とはいえ琉球大学にて一か月の短期インターンシップに取り組むことはできたので、とても良い経験になりました)。
このように、想像していたものとは大きく異なる 2 年間となってしまったのですが、それでも GSGES で学んだことや得たつながりは現在の私にとってかけがえのないものになっています。
私は現在、仕事として環境教育(主に生物に注目したもの)に取り組んでいます。若い世代を中心とした一般の方々を対象に、一緒に自然に触れ、生物について楽しく学ぶというものですが、そこには授業で習ったことや、教職員の方々から教わったもの、研究室の仲間の協力など、 GSGES で得たありとあらゆるものが凝縮されています。GSGES には、留学生も多く、多様な学生や先生方がいらっしゃいます。個人で働く私にとって、様々な場で活躍される先生方や仲間とのつながりは、何にも代用することのできない宝物となりました。
授業で学ぶ内容だけでなく、GSGES だから形成される人とのつながりも大切にすることで、きっと皆さんの人生を豊かにしてくれることと信じています。
小田 実紀(2019 年 3 月修了)
ソニーグループ株式会社
2019 年 3 月に地球環境学舎を卒業した私や同級生たちは、社会人 1 年目の終盤から新型コロナウイルスのパンデミックを経験しました。職場環境の大きな変化に直面しながらも、各々が経験を積み、最近では同級生から「COP に参加する」「自治体の脱炭素事業に携わっている」といった声を聞くようになりました。
私が地球環境学舎への入学を希望したのは、環境問題の解決に携わる職に就きたい、それまでの過程で知見や人脈を広げたいと思ったからでした。学舎ではその期待を上回る学びや出会いの機会がありました。私は海外在住・留学経験が無かったため、英語での講義や留学生とのグループワークは少し不安でした。しかし、そこを一歩踏み出すことで、地球全体で起きる環境や貧困、ジェンダーに関する課題を学んだり、日本以外の国・地域の視点から社会課題を話したりと、自らの視野を大きく広げる経験を得られました。(学生がいつでも集まれるラウンジスペースでの交流も、とても有意義でした。)
私は卒業後、太陽光発電設備工事の法人営業職を経て、現在は電機・映画・音楽・金融サービス等を世界で提供する企業に勤めています。企業の環境への取り組みに関して、投資家をはじめとした社外関係者とコミュニケーションを取る業務、例えば温室効果ガス排出量の算定結果、将来の再エネ導入計画や災害・渇水対策といった情報の開示に従事しています。事業ごとに気候変動等への対策は様々で、関係者は国内外で多岐にわたることから、幅広い視野を持つ必要があり、地球環境学舎での学びが繋がっていると日々感じています。2 年間、お世話になった教職員やインターン研修先、学生の皆様へ感謝申し上げます。ありがとうございました。
ディニタ・セティアワッティ(2022 年 3 月博士課程修了)
Ember Climate 電力政策シニアアナリスト (東南アジア)
GSGES の博士課程を修了したことで、私はとても大きな達成感を味わうことができました。博士課程での研究を通じて、私は、物事をさまざまな角度から見るために必要な知識と考え方を身につけました。また先生方には、 気候変動に伴うさまざまな問題を解決するためのホリスティックなアプローチを理解する際に、気候変動の学際的な性質を考慮しなければならないことを教えていただきました。GSGES で私は、天然資源の活用、都市化、地政学、そして気候の安全性に対して多くの人たちが抱いている深刻な懸念といった世界的な風潮と、気候変動との相互作用について詳細に調査することを学びました。GSGES の博士課程で研究できたおかげで、私には、世界レベル、地域レベルを問わず、革新的なアプローチで環境問題に取り組み、世界レベルでの成果を実現するだけの実力が身につきました。
私は、MEXT の奨学金を受けて博士課程での研究を続けました。また、トヨタ財団からも助成金をいただくことができたのですが、これは、私を指導してくださった先生の強い推薦があったおかげで、私がさまざまなプロジェクトをやり遂げることができると評価していただけたからです。こうしたいくつものチャンスに恵まれたことで、私は、エネルギー正義に関する研究に没頭し、持続可能性に関する教育を通じてインドネシアの露天商人コミュニティを豊かにするための経験を積むことができました。GSGES では、所属した研究室の先生方や学生のみなさんに、私の研究や分析をいろいろと支えていただきました。そのおかげで私はエネルギー研究に関する著書を初めて出版することができたのです。
GSGES で過ごした 3 年間で、私には、数え切れないほどの思い出ができただけでなく、永く交流できる多くの友人ができました。社会科学分野の研究室が企画したミーティングで、環境研究に携わる科学、社会科学、人文科学各分野の研究者の方々と交流できたことは貴重な経験でした。GSGES 卒業後は、GSGES 同窓生のネットワークを活用して優秀な研究者や政策立案者の方々と議論を重ね、新しい知識を増やしています。GSGES で学んだことで、間違いなく私には、エネルギー社会科学者としての道に踏み出すために必要な技術と知識が身につきました。
ヴァル エリフ ベルナ(2019年博士課程修了)
東京文化財研究所 文化遺産国際協力センターアソシエイトフェロー(建築学)
子供の頃に日本に住んでいたことがまず最初に日本文化に興味を持った大きなきっかけとなり、その後大学を卒業してから専門的にも日本で学びたいという意識が生まれました。文部科学省奨学金のお陰で、2015 年に研究生として GSGES に入学し、翌年から博士課程に進学しました。
知らない国で学ぶのは大変な時もあり、博士課程の生活はどこでもストレスが多いと思うので、自分の気持ちを自由に表現できる快適な学びの環境が重要だと思います。そういう意味では、学生と教授が良い時も悪い時も緊密な関係を築いている GSGES に所属していたことはとても幸運でした。
GSGES では様々な学際的な講義やインターンシップの機会が提供されています。それらは必ずしも私のプログラムでは必須ではありませんでしたが、地球環境問題を理解するためにこの機会を利用していくつかの授業に参加したことで、様々な分野や国の教授陣や友人と出会う事が出来ました。この学際的で多文化的な学びの場のお陰で、私は異なる文化、視点、期待を理解することができ、それは結局、私自身の視野も豊かにしてくれました。
卒業後は、東京文化財研究所にアソシエイトフェローとして入所し、国内外の建築家・考古学者・技術者・自然保護研究者からなるチームで働いています。GSGES での経験は私にとって素晴らしい機会だったと思います。現在は様々なバックグラウンドを持つ人々と仕事をしていますが、GSGES での経験はこのプロセスをスムーズに行う上で非常に役立っていると感じています。
そして、GSGES で得た最も重要な学びの一つは、私のキャリアの見方を変えました。それは、研究活動はグローバルスタンダードに照らしながら現地の状況に合わせて行われるべきで、さらに社会的な影響を与えるものであるべきということです。これは、研究者として、非常に有意義で納得のいくことだと思うので、博士論文を書く時も、また現在も社会に貢献できる研究活動に努め頑張っています。
最後に、私の GSGES での経験は記憶に残るものでした。皆さんの経験がさらに良いものになることを願っています!
シャルダ K C(2017 年修了)
株式会社 生活品質科学研究所 研究員
2014 年、私は学業の継続を目的に初めて日本の土を踏み、翌年には京都大学大学院地球環境学堂(GSGES)修士課程(陸域生態系管理論分野)への入学を認められました。授業が英語で行われていること、そしてインターンシップが必須だったことがコース選択の決め手になりました。クラスでは出身国の異なる、様々な文化 的背景を持った学生と交流する機会を得ました。多様な文化的価値観や、それぞれの学生のものの見方や夢を語りあえる素晴らしい時間でした。ひたすら文章力を磨き、宿題や実験に追われる毎日でしたが、修士号取 得後は同じ研究室の博士課程に進み、インターンシップ・プログラムに も参加することができました。私の受け入れ先はネパールの農村で、地 元の農家の方々と一緒に汗を流しました。この経験を通じて、私は農村 地域での生活の厳しさを学ぶと同時に、資源や設備が限られている中でいかにして生きていくかについて学びました。また、実際に現地で生活することによって、タイムマネジメントやプロジェクト管理のスキルを得ることもできました。
京都大学で過ごした 5 年間は、私の人生にとって素晴らしい時間でした。研究室の先生方は皆、とても面倒見がよく、いろいろとお世話になりました。合同セミナーでの学びや指導教員やクラスメートからいただいたコメントも、研究の深化にとても役立ちました。このように周りからも支えられ、私はかねてからの夢であり、目標でもあった博士号を取得することができました。これもひとえに私を夢の実現に導いてくださった教職員の皆様や仲間からの温かいサポートやご協力のおかげです。
私は今、千葉県にある日本企業で働いています。食品の検査や衛生検 査業務を行っている会社で、私は物理化学検査グループに属しています。日々の業務においては、GSGES で学んだ実験スキル、機器の取扱い、データ分析手法など、物理・化学分析に関する知識がとても役立っています。これからも学術論文作成スキル、インターンシップ・プログラム、研究活動、その他様々な講義で学んだことを活かし、職業人としてのスキル を一層向上していきたいと考えています。
原 奈都子(2017 年修了)
国際航業株式会社
社会人になってから地球環境学舎の友人たちに会うと、自分たちの職場環境や気になるニュースについて、議論になることが多いです。そんな時は決まって「こういう話は学舎の人にしかできないよね」と皆が言います。それは、学舎に集まる学生が多様なバックグラウンドを持っていて、興味の幅が広く、社会への課題意識や探究心が強いからだと思います。
私の同級生は約半分が留学生でした。アジア、欧米だけでなく、カリブや南太平洋の島国、アフリカなど、世界中から集まった学生と講義を受け、時に食事や旅行に出かける中で、価値観や文化の違い、各国の政策について、より深く知ることができました。日本人学生でも、出身学部が異なり、社会人経験のある学生や海外で育った学生もいました。彼 らは社会の課題について、自分では思いつかない切り口から考えていて、お互いに学ぶことが多かったです。
私は現在、民間企業の技術者として、国の基盤となる地理空間情報の 整備に携わっています。それは、防災・減災、生態系保全、エネルギー計画など多岐に渡る分野に活かされます。日々、仕事に追われていると、目の前のことしか見えなくなることがあります。そんな時はふと周りを 見て、関連する事柄を俯瞰的に考え、業務の意義や客先のニーズを想像 するよう心がけています。これは、ひとつの物事を多面的に理解する学 舎での学びがあったからこそできることだと感じます。
大学院生として自分の専門性をさらに伸ばすことはもちろんのこと、新しい出会いや学びを求める人にとって、学舎はとても良い場所だと思 います。